クウチュウ戦

平成生まれのビューティフルロックカルテット、＜クウチュウ戦＞。

二十歳そこそこの初期段階で、すでにその高度な演奏力やプログレッシブな音楽性が同世代のオーディエンス/バンド/ライブハウス関係者などに絶賛されていたが、予めそこにあった本当に重要なものは、妖しくも美しいメロディとリリック、そして類い稀なる歌心だった。

1stミニアルバム『コンパクト』(2015年5月)は、そんな彼らの本質が剥き出しになり始めた、スリリングかつポップオリエンテッドな作品集。このアルバムで日本のポップミュージック最前線に向かう意志を露わにした彼らが、続いてリリースした2ndミニアルバム『Sukoshi Fushigi』(2016年1月)は、彼らの中のポップマインドが本格的にバーストした、タイトル通り少し不思議な珠玉の名曲集だった。3rdミニアルバム『超能力セレナーデ』(2016年8月)は、彼らが様々な形で蓄積してきた超越的なミュージックパワーを大爆発させた、“ポップ”に対する彼らからのラブレターのような作品集だった。
思えば、彼らの原点であるプログレッシヴロックは、物量的にもスピリット的にも、６０年代から７０年代にかけて加速度的に進化していったロック/ポップスの最も過剰な表現形態だった訳で、今の彼らはそのスピリットを、ストロングかつドリーミーな“3～4分間ポップ”に全力で注いでる状態だ。ビートルズを始め、各時代に登場してきた“進化するロックンロール”としての＜ポップ＞の巨人たちは、その時代その時代に対応したフレッシュネスと或る種の定型の中で新しい時代の＜ポップ＞を「発明」してきた。6月14日にリリースされる1st love album『愛のクウチュウ戦』は今日から明日に向かう、そんなポップミュージックを希求する彼らの欲望でパンパンだ。